家族信託において、受託者は財産を管理し、運用する重要な役割を担います。家族信託で受託者になれるのは誰なのか、その条件について解説します。
家族信託の受託者とは
家族信託の受託者は、委託者から財産を託され、その管理や運用を行う人物です。受託者は、信託契約に基づいて財産を適切に管理し、受益者の利益を守る責任があります。
受託者になれる人物
家族信託の受託者になれる人物には、以下のような条件があります。
- 未成年者は受託者になれない:信託法では、未成年者を受託者とすることはできません。未成年者は、法定代理人の同意を得なければ有効な法律行為をすることができないためです。
- 家族以外の人物も受託者になれる:家族信託は、名称に「家族」とついていますが、実際には家族以外の人物も受託者になることができます。信託法第7条以外に、受託者になれる人を制限する規定がないためです。
- 複数の受託者を設定できる:家族信託で複数の受託者を設定することは可能です。複数の受託者を設定することで、信託事務の負担の分散や、受託者が財産を適切に管理しているかの相互監督が可能になります。
- 委託者が受託者になることも可能:委託者自身が受託者になる自己信託も可能です。これは、委託者本人が受託者となって「受益者のために」自分の財産を管理運用することを意味します。
- 受益者=受託者とすることは原則できない:信託法の規定により、受益者が受託者となることは原則として想定されていません。ただし、信託組成後に後発的な理由で受益者=受託者となる場合があります。
- 受託者になれない職業:士業専門職(司法書士・税理士・弁護士など)は、信託業法により受託者になることはできません。信託業法は、事業者が受託者に就任することを事業として行うには、金融庁の免許を得なければならないと定めています。
まとめ
家族信託の受託者になれる人物は、未成年者を除き、家族以外の人物も含めて幅広いです。複数の受託者を設定することも可能で、委託者自身が受託者になることもできます。ただし、受益者=受託者とすることは原則できないため、信託契約の書き方に注意が必要です。家族信託を検討する際は、これらの点を考慮して受託者を選定することが重要です。